特集

Vol.5 子どものネット利用について 全国学力・学習状況調査報告書

(文部科学省 国立教育政策研究所平成25年12月)から【Part2】

ネットでのトラブルが多い子は現実でもトラブルがある子が多く、リアルな生活やその子の持つ資質などとも関係が深いと考えられます。
ネット依存については、依存しにくい子のタイプとして、自分に自信を持っている子、家族とよく話をする子、将来に夢や希望を持っている子、が依存しにくいようです。
リアルが充実している、もしくはリアルな生活に居場所があることは重要です。
今回の調査でも家庭で会話をよくする子や、自分に良いところがあると思っている子は平均正答率も高いという結果が出ています。

●家の人と学校での出来事について話をしていますか

小学生:国語A,B 算数A,B
いずれにおいても、「当てはまる」と回答した子が平均正答率が高い。
国語Bにおいては「当てはまる」と「当てはまらない」との差が17,3ポイントとなっていて、家庭で普段から学校に関する会話などが出来ている方が正答率も高い。
中学生:国語A,B 数学A,B
いずれも「当てはまる」が「当てはまらない」を10ポイントほど上回る結果がでています。
小学生同様、家族の関心が子どもに対してあること、家庭で会話ができ、居場所になっていることは安定したよい成績に繋がるといえそうです。

●自分にはよいところがあるとおもいますか

小学生:国語A,B 算数A.B
いずれも「当てはまる」に比べ「当てはまらない」児童は6,3ポイント〜10,4ポイント程低い。
(尚、中学生にはこの項の設問なし)

●人の気持ちが分かる人間になりたいと思いますか

小学生:国語A,B 算数A.B
いずれも「当てはまる」が「当てはまらない」を上回る結果になっています。
特に国語Bでは「当てはまる」と「当てはまらない」の差が17,7ポイント上回っています。
ネットのコミュニケーションはどちらかというと自分を基本として周囲との関わりを持つことが多く、特に子どもの間はネット上での文字だけのコミュニケーションでは、人の気持ちを理解するというより、文字により自分の解釈を持つことが多く、人の気持ちを理解しようという感覚を得にくいことがありますので、要注意が必要です。
人の気持ちを理解しようと思う子の方が平均正答率が高いというのは、人の気持ちの理解と問題を読み解く力に関係が考えられるという結果のようです。
中学生:国語A,B 数学A
いずれも「当てはまる」が「当てはまらない」を上回る結果になっています。(数学Bの結果はありません)
いずれも「当てはまる」が10ポイント以上上回る結果となっています。
単純に学習だけを積み重ねていくよりも人間として人の気持ちを分かろうとする、人と人との関わりが成績にもプラスの影響があることが分かります。

●ものごとを最後までやりとげて、嬉しかったことがありますか

小学生:国語A,B 算数A,B
いずれも「当てはまる」が「当てはまらない」を上回っていますが、いずれもその差が20ポイントほど高く、最後まで何かをやり遂げた達成感は成績にプラスの影響があることが分かります。
特に算数Bでは22ポイントも差があり、知識の活用などのシーンでは影響が大きいようです。
中学生:国語A,B 数学A,B
いずれも12〜13ポイントほど「当てはまる」が「当てはまらない」を上回っています。
ものごとを最後までやり遂げる達成感や、そこに至る乗り越える課題をクリアする体験をすることは重要だと考えられます。

平均正答率の高い子の生活習慣や自己への意識の設問から、成績のよさは、机上の学習だけでなく、様々な体験や家庭環境も影響があることが分かります。
また人の気持ちを理解することなど、他人とのコミュニケーション能力も関係があることからSNSの利用の在り方なども、時間、文字の読み取りを意識したり、それだけを重視したり過多に利用せず、リアルでのコミュニケーションを沢山体験することも必要であることが分かります。

Part3へ

エンジェルズアイズ 遠藤美季

不定期連載コラム

特集

▲ページTopへ